本澤二郎の「日本の風景」(4800)
本澤二郎の「日本の風景」(4800)
<危ない日米韓の覇権的関係強化と改憲軍拡=アジアを軍拡の嵐>
安倍内閣がぶち壊した日韓関係は、日本側の極右外交を強行したことに起因している。韓国政府が、南北和解を求める中道左派の文在寅政権になると、特に歴史の痛々しい強制連行の徴用工問題が厳しい対立の壁となった。これに日本財閥の極右傀儡政権は強く反発し、日韓関係は振り出しに戻ってしまった。そして韓国に新たな検察OBの尹大統領が誕生すると、流れが変わった。しかし、韓国政府の妥協案は、日韓の財閥同士の策略合意だった。このことが新たな火種となって、韓国世論と議会多数派の野党を刺激して、尹政権の支持率は30%前後と低迷している。
日本の新聞テレビは、例によって政府とNHK・電通に影響されてか、日韓関係が安定化しているように報道して、国民の目を狂わせている。韓国の政府と世論・野党の反発は強まっている事実を伝えない。
韓国大統領が「想像もできなかったことが、日本との間で起きている」との自画自賛発言を大きく報道する日本の言論界と現実の乖離は甚だしい。日韓の首相と大統領夫妻のはしゃぎぶりに焦点をあてている言論界の衰退こそが問われている。
岸田訪韓に反発する人々の怒りや、岸田への重警備の様子を詳細に報道しない日本報道界こそ、次なる危険な事態の原因である。韓国の世論は日米とも真っ二つに割れている。
<日韓の極右連合の和解に安心してはならない=国民的合意に程遠い>
何事も国の指針・方向は、国民的な合意が不可欠である。結論を出すための民主的な過程・プロセスを踏まねば、合意は成立しない。
たとえば安倍内閣が強行した戦争三法(特定秘密保護法・自衛隊参戦法・共謀罪)やカジノ法、岸田内閣の安保3文書と43兆円の超軍拡予算計画は、こうした民主的なプロセスを経たものではない。
日本国憲法に違反している。到底国民は受け入れることは出来ない。筆者が自公維を批判し続ける理由は、ジャーナリストとしての最低の矜持である。極右政治は独裁ゆえに、本来存立を許されない政権である。
今回の日韓政府の和解は、国民レベル、特に韓国の世論を反映したかどうか大分怪しい。日韓の国民的合意の和解ではない。必ず問題が表面化する。
<韓国の司法は反省謝罪を拒否した日本財閥に手厳しい判決>
戦前の天皇ヒロヒトの侵略戦争は、擁護すべき施策はないに等しい。過去に「いいこともやった」と暴言を吐いた大臣は、首を斬られた。
問題の根っこは侵略推進勢力は、財閥である。財閥の資源略奪に起因する。それでいて、彼らはこうした途方もない重罪に対して反省も謝罪もしない。人の道に反する輩で、やくざ暴力団以下の悪魔の勢力といえる。
現に韓国の司法は、日本財閥の犯罪行為に対して、当たり前の判決を下した。それでも、それを受け入れようとも、反省も謝罪もしない。そのことに日本政府や自民党など与党と右翼野党は反発している。ここに真の原因がある。
日韓の真の和解は程遠い。
<またしてもワシントンの圧力に服従した日韓財閥政府の危うさ>
結局のところ、驚いたことに被害者である尹政権が妥協した。日韓財閥の事実上の合意に日韓の右翼政権が、それを受け入れたのだ。傷口に絆創膏を貼った程度の合意でしかない。
新たな火種を作ったことになる。この日韓の危うい合意は、またしてもワシントンのアジア戦略の再構築という野望の成果である。米CIAと日韓の謀略機関同士の策略による危うい合意形成が見て取れる。
日韓の反共右翼を操ることに長けたワシントンの産軍複合体という「死の商人」がまとわりついた勢力の陰謀が潜んでいる。
平和な幸せづくりの国際協力では、全くない。中国・ロシア・北朝鮮が強く反発することになる。アジアにおける、さらなる緊張を呼び起こす日米韓の軍事的な策略的和解である。
<アジアの新たな深刻な火種にならないか>
つかぬ間の日米韓の軍事的右翼連合は、アジアに緊張をもたらすだろう。憲法が悲願とする平和的な国際的協調と異なる、真逆の危険な航路である。
何度でも繰り返すが非戦の憲法下、GDP比2%の43兆円超軍事大国路線は、平和憲法を破壊してやまない。
こうした野蛮すぎる路線に貢献するような中国・北朝鮮・ロシアだとすれば、それこそ健全な日本政治の得意とする説得外交だ。
極右連合は、つまるところ暴利に暴走する財閥の野合である。国家的人殺しを意に介さない野蛮すぎる航路だ。最大の被害者は、そこに生きる人民・国民である。ウクライナでは60歳までの男性が人殺しを強要されている。ロシアの若者も同様の運命にさらされ、ともども生きる権利の命を奪われている。
この間にも3月期決算で財閥商社は、これまでの最高の収益を上げていることが、本日の報道で公表されている。日銀の円安政策と戦争が財閥暴利を可能にさせている。いい加減にしてゆでガエルの日本人を返上する時である。年金問題で決起したフランス国民には驚く。
<朝鮮半島分断は日本の植民地支配が元凶>
以前に自民党総裁になった河野洋平は、倅や父親の頭脳と違ってまともな
考えの持ち主だった。「南北の分断は日本の植民地支配によるものだ」と事実を指摘した。
「改憲?どこを変える?どこも変えるところはない」「改憲してミニアメリカになりたいのか」と堂々と真実・正論を公言していた。晩年の宇都宮徳馬が、もっとも信頼した政治家だった。
安倍晋三・菅義偉・岸田文雄には、それぞれ侵略の満洲人脈がまとわりついていることが分かってきた。要注意だ。「9条改憲反対」といっていた岸田は、公明党のように公約をくるくる変える。油断大敵だ!
2023年5月10日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)
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