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2024年4月17日 (水)

本澤二郎の「日本の風景」(5137)

本澤二郎の「日本の風景」(5137)

<賞味期限がきれた小池百合子の経歴詐称事件>

久しく大谷翔平がネットやYouTube界を占拠していたが、今は都知事の小池百合子の経歴詐称事件に取って代わられた。彼女が防衛庁長官になった時、同庁のオピニオンリーダーの会員だった関係で、初めて名刺交換した。筆者の政治評論家の名刺を見つめながら「お手柔らかに頼みます」という挨拶をくれた。安倍晋三内閣のころだ。単なる初対面の挨拶だったのか、それとも批判記事を書かないで、という意味だったのかどうか?

 

ジャーナリストに対して尊大ぶった永田町の住人は、まずほとんで出くわしたことがない。脛に傷を持つ住人が多いせいではあるが、油断していると、新聞記者の方が尊大ぶってしまう。

菅義偉が仕えていた小此木彦三郎事務所に飛び込んだ時のことである。小此木さんが青くなって、やや震えながら「M新聞の00を知ってる?いま俺を脅して帰った」とわめいた。聞いた方は「さもありなん」と同調した。00は政治家の脛の傷の一つを取り上げたものとみられる。当時、菅は地元秘書だったので、国会事務所界隈では誰も知らなかった。

 

今回の元側近の小池批判は、田中角栄の金脈事件も大々的に取り上げたことでも知られる月刊誌・文藝春秋。当時は立花隆が10数人のスタッフと福田赳夫派と連携しての総力取材で、首相退陣に追い込んだ。今回は女性都知事と小粒であるが、選挙目前のためであろう、大いに注目を集めているようだ。むろん、買って読んでみたいとは思わない。

友人の人権派の弁護士は、図書館で読んだ、といって連絡をくれた。「政界にいい女性政治家はいない。取り巻き連はみな男たちばかりだ」といって嘆いた。

 

<女性議員取材を回避した凡人ジャーナリスト>

自民党の凋落は、既に1970年代から始まっている。当時、安月給を少しでも補填するという、卑しい目的がなかったかどうか。吉田茂首相秘書官をした元大蔵官僚・岩動道行参院議員と共著で「新自民党論」(保守復調傾向をえぐる)=日本ジャーナル出版=を書いた。自民党派閥内の言論の自由度を評価したもので、全政党がそうした近代政党のルールを、政党の掟にしてもらいたい、との願いを込めた内容だったと思う。

 

特に自民党名門派閥・宏池会の自由言論をベースにしたもので、A級戦犯の岸信介の流れをくむ福田派の秘密主義・権力主義についての理解が不十分だったころのことである。昭和54年の出版だから、政治記者としては未熟だったことも認めるしかない。

 

自民党は政権維持のために女性タレントを起用して、低落傾向に蓋をかける。テレビや映画の人気タレントを政界に引き上げた。山東昭子を自民党内では「人寄せパンダ」と呼んだ。およそ見識のある女性の人材はいなかった。

彼女らの中には、男たちをたらしこんでテレビに出演し、さらに政界の大物に手を伸ばし、閣僚にまでのし上がるとんでもない政治屋が少なくない。あるときは、政治雑誌の社長に「あの子のインタビュー記事を頼む」と依頼されたことがある。驚いたことに彼女は、歴史認識はまるでなく、戦前の皇国史観を吹聴した。案の定、安倍の側近になり大臣にまでなって、極右の日本会議の「人材」にまでのし上がっている。

 

そんなわけで政治家として通用する女性議員は少ないか、いない自民党である。政治記者20年の筆者は、自民党女性議員の部屋に入った記憶がない。したがって小池のことも全く知らなかった。

 

<自民党内に真っ当な女性議員はいない?>

田中真紀子は別格だろう。父親の背中を見て育ったわけだから、政治屋の正体を知っている。彼女は、まさか安倍晋三や森喜朗らが首相になることなど、筆者同様に想定できなかったはずだ。

田中が首相として、東南アジア5か国歴訪時に同行したさい、現地で彼女の人気を確認して一度直接取材し、本社に記事を送った。政治家になったあとは、彼女の部屋に入ったこともない。多忙すぎて、いつも部屋にいなかったせいでもある。その分、夫の直紀さんの新潟での講演会に呼んでもらった。

会わずに過ごしてしまい、反省する人物というと、李香蘭・山口淑子さん。彼女の中国時代の思い出を取材すべきだったと猛省しきりである。

一人だけいた。三木内閣で官房長官をした森山真弓さん、彼女も一人息子を亡くしていた。同病相憐れむだったかもかもしれないし、それだけではなくにだけではない。労働省官僚出身で憲法もよく知る、常識のわかる人だった。

 

<男尊女卑社会の権力と利権あさりの犠牲者?>

よく考える必要はないのだが、日本の社会には明治に確立した天皇制神道国家主義が、敗戦後も残っている。原始宗教のおかげで、女性の地位は性別的にも低い。

男尊女卑は今もある。神道の巫女について多少、研究すれば、その地位は文句なしに分かるだろう。やくざ暴力団と強姦女性の関係にも相当するらしい。

 

原始の宗教社会が天皇制に直結している異様な日本に気付くと、なるほどと理解が進む。天皇制が存続している限り、日本の民主主義はほぼ永遠に確立しないかもしれない。

友人は「日本社会のガンは、やくざ暴力団と宗教である」と決めつけている。そうかもしれない。

いうなれば、小池百合子も男尊女卑の世界で、精一杯生きてきたともいえるだろう。その点では理解できるのだが。だからといって経歴詐称は、人として倫理道徳に反する。法律も禁じている。彼女にまとわりついて、甘い汁を吸っている輩がにくい。

 

<史上最悪の小選挙区比例代表制が拍車!>

小選挙区制は民意を反映しない最悪の選挙制度である。比例代表も有権者を愚弄する制度で廃止すべきだ。失礼ながら「安倍の女」になる?ことで、国会議員にもなった事例が報告されている。

 

父親の晋太郎もひどかったようだが、晋三も酷かった。その点で昭恵に同情したい。これからが彼女の本当の人生ではないだろうか。

彼女は希望すれば、即座に後継者として政治家を名乗ることができたが、その道を選択しなかった。昭恵は立派な女性かもしれない。

小選挙区比例代表制廃止が、何よりも喫緊の課題である。

2024年4月17日記(茅野村の仙人・日本記者クラブ会員)

 

(日刊ゲンダイ)東京都の小池百合子知事がエジプトの名門「カイロ大学」を卒業したのは事実なのか──。元側近の小島敏郎氏による月刊誌「文藝春秋」での告発で、小池都知事の学歴詐称疑惑が再燃。波紋を広げている。

 

(毎日新聞)衆院東京15区(東京都江東区)補欠選挙が告示された16日、東京都の小池百合子知事は新人候補の応援演説に立ち、同選挙区で「政治とカネ」の問題が繰り返されている現状に触れて「区民は何も悪くない。江東区から日本大改革を進めていこう」と訴えた。

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