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2024年3月31日 (日)

本澤二郎の「日本の風景」(5121)

本澤二郎の「日本の風景」(5121)

<絞られた森喜朗の国会証人喚問>

何事もやりすぎると副作用が出て、本人や社会全体、国民生活を破壊させる。安倍・清和会政治の恥部の一つである裏金疑惑の指南役として、体育系の森喜朗があぶりだされている。

「1日も早い証人喚問が不可欠」という認識が自民党にも広がって、もはや森の逃亡は不可能になった。岸田文雄も、清和会の圧力を抑え込むための捨て駒として、早稲田の先輩の森に期待していたが、今回の裏金問題では森追及に舵を切るしかない。「森喚問」は避けられない。そこへと引きずり込んだ岸田の手柄かもしれない。

窮鼠猫を嚙むという。4兆円五輪賭博事件は、官邸による検察圧力で、安倍同様に事件のもみ消しに成功したようだが、裏金事件では主犯格として逃げることは不可能とみられている。

 

<吉田茂学校の優等生は池田勇人・岸信介学校の優等生が福田赳夫と森喜朗・小泉純一郎・安倍晋三>

スポーツから政界入りした森の崇拝者は、A級戦犯内閣を組織した岸信介。安倍晋三の祖父である。「うちのじいさんは民主主義を知らない」と一度きりの晋三取材で孫は、やや自慢げに答えた。「台湾ロビー」(データハウス)を書いたころである。

 

台湾独立派のボスである李登輝との深い仲も明らかにした。李登輝が息子のようにかわいがっていたことも。岸と蒋介石の仲は、晋三と李登輝に移った。

岸に恩義を感じる体育系代議士は、1972年の日中国交正常化に対抗して岸が誕生させた血盟の青嵐会メンバーとなって、岸の指示に従った。森が福田赳夫の清和会を立ち上げる中で、岸の娘婿の安倍晋太郎側近になって、ついに福田派を森派へと衣替えに成功し、運よく政権を手にした。小渕恵三の急逝が機会を作った。

森もまた、岸や晋三に続く台湾派のボスにおさまった。総選挙ともなると、軍資金稼ぎのため台北へと何度も出かけた。竹下派の金丸信との共演が話題になっていた。

 

岸政治の後継者として福田赳夫に次いで、森も晋三も同じ道を歩んだ。森の後継者の小泉純一郎が、晋三を官房副長官、官房長官、自民党幹事長に起用した背景には、森の強い意向が働いていた。小泉が国際社会が反発する戦争神社・靖国参拝を繰り返し、アジア諸国の信用を失った事情には、神道政治連盟という戦前の国家神道に入れ込んでいた森の意向が存在していた。

いまワシントンでは、トランプが聖書の販売で軍資金稼ぎをしているという。石原慎太郎もそうだったが、カルトの活用に長けている点で、岸の思いが継承されている。政治と宗教は一体関係にある。戦争との関係もしかり。よって近代法は、政治と宗教の分離を為政者に強要している。

 

公人による特定教団に参拝することを禁じることで、正教一体を封じ込めている。岸の人脈には、こうした近代法の原理原則が徹底していない。昨今、防衛省の制服組が靖国の宮司になることが決まったという。きな臭い動きとして、宗教界の話題となっている。隣国の警戒心も強まっている。

 

国家神道かぶれ=神道政治連盟と笹川ギャンブル財団>

1945年8月15日の敗戦直後に、日本占領軍は侵略戦争の牙城

となった国家神道を真っ先に禁止した。神社神道は、単なる宗教法人の一つに格下げした。むろん、財閥と軍閥も解体した。

 

恐ろしい戦争神社は、その後に神社本庁として生き残り、政権与党の内部に神道政治連盟という組織を構築した。吉田・自由党と戦前派の民主党による保守合同が、その機会を作った。戦前派復活を約束した保守合同に真っ向から反対した人物というと、平和軍縮派の宇都宮徳馬や憲法学の立場から稲葉修らの抵抗が見て取れる。

 

稲葉に問いただしたことがある。「なぜ反対したのか」に対して、彼は「戦争責任が風化する」と明快に語った。政教分離を理解していた。井出一太郎は「もっと徹底した反対をして阻止すべきだった」と猛省するコメントをくれた。

 

戦前派と戦後の民主派の保守合同により、自民党綱領に「自主憲法の制定」が組み込まれてしまった。日本とアジアの悲劇はここから始まってゆく。この時点で、保守本流の護憲リベラルの民主派が、神道政治連盟・靖国派に凌駕されていく。

 

京大名誉教授の歴史学者・井上清は、著書で「神社神道は原始宗教の一つで、お祓いカルト」と断罪している。戦前派の復活が、ついに対外敵視政策を強く推進し、それによって無知蒙昧の徒を偏狭なナショナリストに追い込んでしまった今である。

 

核兵器を前提として、利権の山である原子力発電所の大掛かりな建設は、岸の内閣の下で実現を推進してゆく。読売の正力松太郎や当時、青年将校とされた群馬の中曽根康弘らが、これに特化してゆく。同調した読売の渡辺恒雄は、改憲論をぶち上げ、中曽根と共犯者のように世論操作に専念してゆく。

 

これにさおさす不気味なギャンブル財団・岸の盟友だった笹川良一の一族が、清和会に軍資金を流してきた。森の事務所は笹川財団が面倒を見ている。ついに43兆円の危険な潮流が、列島全体に押し寄せている。

森喜朗の国会証人喚問は、こうした清和会の恥部に初めて風穴を開けることになろうか。

2024年3月31日記(反骨ジャーナリスト・政治評論家・日本記者クラブ会員)

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