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2022年12月17日 (土)

岸田文雄も国民の敵<本澤二郎の「日本の風景」(4657)

岸田文雄も国民の敵<本澤二郎の「日本の風景」(4657)

<安倍内閣外相時代に宏池会の指導理念(護憲リベラル)を放棄!>

 昨日の朝大霜が降りた。「皇帝ダリア」の花が一斉に萎れてしまった。ふえんすると、気候変動に人間も自然も勝てない。それでも地上の人間はコップの争いを繰り広げている。

 昼に姉が埼のレストランで、印刷会社の西村さんと「安倍逮捕」を勇敢に叫んでいた市民活動家の仲村さんと面会した。80歳になるという仲村さんの髪が黒々としていた。「男盛りは真っ八十」の実践者だ。毎日日刊ゲンダイを買っている西村さんは「夕刊フジは読む記事がない」と決めつけた。さしずめリベラル3人衆か。完成した本ブログ10巻4セット分を仲村さんの高級車のトランクに乗せた。国会図書館は済んでいる。日比谷図書館などに配送してくれるだろう。

 帰宅して昨年成功した沢庵漬けに挑戦した。暗くなった夕刻に、首相官邸での岸田文雄会見をヤフーニュースで見てしまった。彼は安保3文書を閣議決定したことの理由を、用意した原稿でとうとうと述べ始めた。

 

 「岸田も国民の敵」だと率直に思った。安倍晋三と同じ「国賊」である。死の商人の軍門に下ってしまっていた。彼の発言から見えたことは、安倍内閣の外相時代に、あっさりと外務省の役人に取り込まれてしまっていた。そのことが確実に分かった。すなわち歴史の教訓を排除する右翼的外交官の信条である「軍事力がないと外交は出来ない」という失格外交官の言い分に、自身の信条を委ねてしまって、宏池会の護憲リベラルの立場を放棄していた。

 要するに、A級戦犯の亡霊が徘徊する永田町の仲間入りしていた。名優チャップリンの出番か。悲劇を通り越した恐怖の喜劇である。

 

<宮澤喜一の薫陶を放り投げてNATOレベルの戦争国家へ驀進>

 岸田は護憲リベラルの宮澤喜一から薫陶を受けた。そうして自民党きっての名門・宏池会の会長に就任した。彼の恩師・宮澤は、堂々と平成の妖怪・中曽根康弘に向かって、核時代の平和憲法のすばらしさ・現実味を訴えた。

 言論界の悪党である読売のフィクサーの誘いを蹴飛ばした。それでも時代が宮澤の出番を作った。小泉内閣の官房長官・福田康夫は派閥は違っても、足しげく宮澤のもとに通った。福田は小泉純一郎の靖国参拝に反対した。

 

 そして今、岸田文雄は宮澤の薫陶を蹴飛ばして、A級戦犯の亡霊が徘徊する清和会に突っ込んでしまった。軍事費をNATO諸国レベルの2%論に与した。安倍の路線・日本会議のレールに乗った。日本国憲法が決して妥協しない「死線」に踏み込んだのだ。

 死の商人のための戦争国家に進んで飛び込んでいる!何という愚かな政治屋か。財政が破綻している日本で、国民を死への道に誘い込んだのだ。安倍を「国葬」にした理由も、これで見えてくるのではないか。本心から安倍の仲間になってしまっていたのである。

 

<大軍拡は戦前の二の舞=国民生活を破綻させ戦争を確実に誘引する>

 歴史を紐解くまでもない。軍拡は国を亡ぼす。国民生活を破綻させる。市民の安心安全をぶち壊し、主権者を冒涜し奴隷化させるものだ。人々を暗闇の世界に追い込んでいく許されざる航路だ。

 

 宏池会の先輩たちの言葉を思い出す。宏池会の創設者・池田勇人の官房長官になった黒金泰美は「ともかく自衛隊は玩具を欲しがって困りますよ」と最高給の皮肉を飛ばしていた。背後の死の商人を痛撃していた。民意が政策の基本だとも。軽武装経済重視だ。

 今回の安保3文書に死の商人は狂喜しているだろう。暴兵損民も極まっている。戦前の政友会の実力者で、孫文の友人だった小川平吉の次男・平二は「宮澤は座談の名人。彼は護憲リベラルが信条」と語った。宮澤は「核時代こそが9条を光り輝かせている」と断言した。大平の後継者となった池田行彦や加藤紘一は60年安保の国会デモの常連だった。

 

 確かに隣国にはミサイルを飛ばして、国民生活を疲弊させる国があるが、日本も同じ道へと突っ込むというのである。戦前の二の舞いを約束させるだろう。恐ろしい、本当に恐ろしい日本政府の大転換に愕然とさせられる。しかも、岸田は被爆地を地盤としている。有権者は岸田を落選させる大運動を展開させるだろう。

 

 冒頭の仲村さんは、先ごろ茨城県の百里基地の航空ショーを見学した。目の前の自衛官に向かって「わが町には子ども食堂が4か所もある。軍拡どころではない。どう思うか」と問い詰めた。一人として反論するものがいなかった。当然であろう。国家衰退期の大軍拡に国民は恐れおののくばかりだ。

 

<中国敵視政策はアジアを火薬庫におい込む>

 死の臭いがするA級戦犯の亡霊が徘徊する永田町の一大変動の口実は、中国敵視政策にある。中国との国交回復は、宏池会の大平正芳外相(当時)による戦後外交史を彩る不滅の実績である。その後に日中平和友好条約が締結された。この時は大平幹事長と園田直外相と田中角栄の支援に福田赳夫首相が折れた。この時は、福田は一度だけ岸信介の圧力を撥ねつけた。

 

 岸田は宝である平和友好条約を事実上破棄したに等しい。中国との友好関係はアジアの平和と安定の基礎である。その基礎を岸田が破壊してゆく。世界最大の消費市場大国の中国から抜け出して、どうして日本国民の命と生活を守ることが出来るのか。

 

 ワシントンとロンドンの世界戦略に見事にはまってしまった日本である。日清戦争も日露戦争も大英帝国の策略だった。今度はワシントンの罠である。アジアを火薬庫にする可能性が高い。岸田の無能無責任に対して吐き気をもよおす。岸田もまた安倍同様歴史の教訓を学んでいない。日本国憲法を読んでいない平凡な二世議員、政治家の世界に入ってはならない人物だったのである。

岸田を政界から追放する国民運動が不可欠であると断じたい。

 

<官邸記者会見で判明した恐ろしい言論界の翼賛体制化>

 内閣記者会との岸田会見が午後6時に開かれた。珍しくヤフーニュースで見たのだが、記者の質問の低級さに衝撃を受けた国民は少なくなかったはずだ。司会役の官邸官僚は、事前に電通派遣社員と連携して質問する記者と内容を掌握していた。幹事社が冒頭に質問したが、何とナベツネの読売と日本テレビだった。そして次は産経に質問した。ひどすぎる!

 官邸官僚と記者団は、事前に岸田向けの質問をつくっていた。つくられた記者会見だった。本来であれば、官邸記者会見場が怒号で大混乱のはずだが、それは全くなかった。議会にならって言論界も翼賛化していたのである。

 岸田の危険すぎる蛮行に釘を刺す質問は、最後までなかった。官邸官僚と電通の思惑通りに推移した。

 

 言論の自由が消えてしまった日本に、改めて衝撃を受けてしまった。歴史を知らない、学ばない首相と記者団の相互連携の記者会見に終始した。それでもゆでガエル・ごまめの歯ぎしりで甘んじていいものか。歴史の再現と人々の沈没と財閥・死の商人跋扈のミニアメリカ化がすぐそばに来ている。

2022年12月17日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)

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