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2022年11月15日 (火)

清和会秘話10<本澤二郎の「日本の風景」(4625)

清和会秘話10<本澤二郎の「日本の風景」(4625)

A級戦犯の岸信介を生涯追い詰めた宇都宮徳馬の平和軍縮論>

 おそらく平和軍縮派の宇都宮徳馬ほど世のため人のために尽くした国際政治家はいない。痛快な人生を送った幸せな政治家だった、とも断言できる。いま政権を手にした岸の孫・安倍晋三路線を継承した岸田文雄の内閣支持率は33%と低い。国民の65%が岸の遺産であるカルト教団・統一教会の対応を評価しない。同教会と地方議会の関係を明らかにせよ、という国民は71%だ。

 このNHK世論調査の課題はないか。安倍・菅を経由してきた大軍拡について、国民の声を聞こうとしていない。政府自民党と財閥への配慮だろう。民意を反映しない選挙制度と世論調査が、政治を一段と落下させている。泉下の宇都宮は、歯ぎしりしながら怒っているはずだ。

 宇都宮の岸田採点は、文句なしに落第点だろう。合格点の60点には遠く及ばない。A級戦犯の岸を生涯追い詰めた宇都宮の平和軍縮に対する信念はすごい。彼にとって猟官運動をして権力(大臣)を手にすることではなかった。いまこそ平和軍縮論が台頭する時であると叫んでいる!

 

<韓国・朴正熙軍人大統領利権にもぶら下がる岸を追及>

 2019年8月25日の本ブログを見つけた。韓国の朴正熙が岸の満洲人脈の仲間であることが、7・8安倍銃撃事件で判明したことで、岸の闇の一角に光が灯された。要するに宇都宮が72年の時点でも、韓国地下鉄汚職事件をとことん追及していた理由もすっきりと理解できる。

 韓国地下鉄建設疑惑は、岸の采配のもとで具体化したものだから、宇都宮は容赦なく追及していた。それは岸の政治後継者の福田赳夫の清和会の台頭を阻止する狙いもあった。岸・福田の清和会は、逆に宇都宮の選挙区に刺客として石原慎太郎をぶつけてきた。石原選挙に国際勝共連合が支援していたはずだが、駆け出しの政治記者は、そのことまで気付かなかった。当時は統一教会が話題になることはなかった。

 

 平和軍縮の大敵である戦犯勢力主導のによる保守合同(1950年)に反対した宇都宮は、鳩山一郎を支持した後に、岸の台頭を警戒して護憲リベラルの石橋湛山を強力に支持して、岸を抑え込んだ。この場面で稲葉修と宇都宮は、日々碁を打ちながら岸の阻止に奔走した。もう一人の反岸・水田三喜男とも。

 水田は旧制水戸高で机を並べた友人だが、戦前は長州の山県有朋に対抗した佐賀の陸軍大将・宇都宮太郎の長男・徳馬の護衛役となった。水田は、共に官僚向けの東京帝国大学を蹴飛ばして、京都の帝国大学の河上肇の門下生となった。

 当初は父親の指示で陸軍幼年学校に入学した宇都宮は、同校の先輩だった大杉栄が軍によって惨殺されたことに衝撃を受けた。すかさず、陸軍大将の道を放棄し、一般校の水戸高に入ったという経緯がある。後輩の後藤田正晴によると、軍事教練のさいに高下駄を履いて校庭に出てきたというエピソードを明かしている。

 

 岸と連携する朴正熙政権のスパイ組織・KCIAに東京のホテルで拉致、殺害される寸前の反朴派で民主派の後の大統領・金大中を救ったのは、宇都宮の要請を受けた、当時官房副長官の後藤田による成果だ。警察と米軍を動かして間一髪救われた。宇都宮と後藤田がいなければ、韓国・民主派の政権獲得はあり得なかった。全斗カン政権が死刑宣告を強行した際は、鈴木善幸首相に救済を要請し、助けた。二度目の命拾いで金大中政権が誕生して、岸の韓国利権は排除された。

 その頃の裏事情を韓国のテレビ局が2019年の時点で暴いて、岸・福田・安倍の日韓腐敗の継続を断ち切ったのだが。今また復活するのかどうか。先日東南アジアサミットにおいて3年ぶりに日韓首脳会談が行われた。財閥の徴用工問題処理を迫る日本政府に対して韓国の保守政権が屈するのかどうか。

 韓国と日本の政府間の闇は、今後とも警戒が必要だろう。

 

<米産軍複合体と連携する岸・軍国主義論に徹底抗戦した国際政治家>

 米軍人大統領のアイゼンハワーが警鐘を鳴らした軍需産業と軍の連合が、「死の商人」よろしく政治を脅かす産軍複合体としてワシントンに君臨している。そこと日本の右翼政権、すなわち岸・福田・安倍の連携による大軍拡の嵐が東京に吹き荒れていることに多くの国民は、というよりも議会も言論も沈黙している。

 各種の世論調査が、こうした本格的な軍国主義に注意を喚起しない。東アジアの緊張を合唱して軍拡に歩調を合わせ、福祉が削られていることも。日本にも言論と議会を封じ込める産軍体制が生まれている証拠であろう。

 

 戦前の戦争体制は、国家神道と財閥の復活によって確立する。靖国神社参拝は、それに弾みをつけるものだ。神社神道と統一教会と創価学会のカルト教団の勢ぞろいが、岸の時代を彷彿とさせている。安倍が教育勅語に飛びついた森友事件もまた、軍国主義狙いである。

 

 いま野党に宇都宮らしい政治家がいない。むろん、自公両党にもいない。政治屋ばかりだ。財閥に塩を贈る連中だ。まさに戦争体制にまっしぐらだというのに、大手の新聞はナベツネの読売になびいている。岸・正力松太郎を引き継いでいるナベツネ体制も終わりに近付いているのだが。

 ついでに言うと、渡邉恒雄と氏家誠一郎を読売に送り込んだ人物が宇都宮である。彼らはそろって左翼から右翼に転向して恩師を裏切った。後者が日本テレビを牛耳った。読売も日テレも軍拡と原発に走って久しい。宇都宮が「忘恩の徒」と叫んで当然だった。彼はそれ故に筆者に繰り返し「権力に屈するな。屈したらジャーナリストではない」と叫んだ。今日も朝起きると、この言葉がまるで経のように響いた。

 

<国際軍縮議連立ち上げ・軍縮本を出版し、ナベツネ右傾化言論を牽制>

 宇都宮は侵略戦争の教訓を学ぼうとしない岸・福田の勢力を封じ込めようとして、国際軍縮促進議員連盟を立ち上げた。三木武夫、鈴木善幸、河野洋平、土井たか子らそうそうたる議員が参加した。

 晩年の「軍縮問題資料」(月刊誌)の広告は、新聞の題字下を飾った。岸軍拡阻止の思いである。それをナベツネ新聞にも出して「忘恩の徒j」に猛省を促したが、無念にも成果は出なかった。

 この雑誌の巻頭言は、毎回自らペンを握った。達筆とは言えない文字のため、一人山谷秘書が書き写して印刷所に届けた。80代でも宇都宮の頭脳は全く衰えなかった。宇都宮軍縮研究室兼務の事務所を訪問すると、主は印刷したばかりの雑誌の表紙に「謹呈 本澤二郎君」と書いてくれた。

 戦前は読売新聞経済欄に「高杉俊輔」というペンネームを使って、公然と軍部批判の活字を載せた。軍国主義何するものぞ、の気概に脱帽である。京大時代は反軍デモで逮捕、拷問も受けたが、大杉栄の二の舞になることはなかった。  

 

<日中国交回復に向け、自費で国際会議を開いて米議会工作成功>

 台湾派の岸に対抗して、健康を回復した石橋湛山を連れて北京の周恩来と会見し、日中友好活動を本格化させる。その馬力は天を貫くようだった。

 正常化の核心はワシントンの議会の抵抗を封じることだった。そのためアメリカ西岸のサンタバーバラ市のホテルに日米の主要な政治家を集めて、日中国交回復のための国際会議を開いた。宇都宮政治力を最大限発揮した時である。ワシントンの有力者は「日本が共産主義化するのではないか」という不安を一掃させることに成功した。1972年9月の50年前、田中首相と大平外相の北京訪問で戦後外交最大の難問に一気呵成、決着をつける原動力となった。

 台湾派の岸と福田の清和会の抵抗を見事排除した宇都宮は、この重要な国際会議を自費でこなした。あっぱれである。

 

 いまは、これの押し返し、揺り戻しが表面化している。森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三の清和会と、背後の統一教会と神社神道の日本会議のカルト勢力である。

 

「(侵略戦争)権力に屈するな」の宇都宮遺言が毎日耳に飛び込む>

 今の異様な日本の政治体制は、自民党から護憲リベラルが消滅したことで表面化した。逆流している危険な事態である。7・8事件がそのことを浮上させ、人々にSOSを発している。人々の耳に聞こえるだろう。必死の叫びである。

 清和会も必死だ。閣内と党内で統一教会存続に躍起だ。国民は反発している。岸田も前に歩み始めているが、結果を見るまでは分からない。幸いなことに国民の多くは、岸田内閣の対応に批判的だ。内閣支持率も大きく下がっている。岸田退陣の危険ラインに下がっている。

 「岸・福田の清和会に屈するな」という宇都宮遺言が耳鳴りとなって消えることはない。侵略戦争を正当化する清和会に屈するな、と。本日は亡くなった妻の生誕80年の記念日だ。

2022年11月15日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)

 

韓国テレビ8億ドル援助暴く!<本澤二郎の「日本の風景」(3415)
<宇都宮徳馬は岸信介のソウル地下鉄汚職に怒っていた!>
 1965年の日韓請求権協定、その7年後に政治記者となって宇都宮徳馬さんとは、週に3度くらい会っていたが、当時の話題の筆頭が、確か岸信介のソウル地下鉄汚職事件だった。A級戦犯になって入獄した岸が、その後に首相になった不思議を、ずっと疑問を抱きながら取材してきたジャーナリストも、8億ドル援助のからくりの全貌を知ることがなかった。右も左もわからない駆け出し記者の不勉強が災いしたものだが、けさネット掲示板で見ることができた韓国のテレビ取材に頷くばかりだ。これほど痛快な調査報道を見たことがない。平和軍縮派の宇都宮さんの怒りは、当然だったろう。彼は当たり前のように岸を批判し、それを月刊誌に投稿して鬱憤を晴らしていた。1965年の日韓条約の核心である8億ドルの経済援助は、なんのことはない、安倍晋三を教育してきた祖父の利権そのものだった。
<日本人必見!韓国JTBC報道に脱帽!>
 JTBCテレビの取材班は、日本の国会図書館で調べたり、財閥の雄である三菱の商事社史まで手を伸ばしていた。アメリカの公文書館をあさると、ワシントンが日本と韓国双方に圧力をかけていた様子が見て取れるだろう。
https://www.facebook.com/275833026700169/videos/367581660804833/
 韓国の大統領は、軍事クーデターを成功させた朴正熙、前韓国大統領の父親である。軍人大統領と東条内閣の商工大臣の深い結びつきを基礎にして、8億ドル利権が動き出した。

 

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