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2020年10月 5日 (月)

新聞の反骨化!?<本澤二郎の「日本の風景」(3865)

新聞の反骨化!?<本澤二郎の「日本の風景」(3865)

<東京・朝日が菅オフレコ御用化朝食会をキャンセルして注目>

 安倍晋三と菅義偉の生活態度の違いというと、夜の宴席大好きな安倍と、酒嫌いの菅は朝食レストラン派。共通項はともに高級レストランで、庶民にとっては高根の花である。

 

 パンケーキ店を全く知らない世代だが、今の若者には人気なのか。菅は、そこでの記者懇談を、10月3日の朝食時にたっぷり時間をかけた。それも完全オフレコである。菅の正体を暴く絶好の機会だが、しかしながら、1行も活字にして報道しない。おそらく、こうした日本の異様ともいえる取材方式は、国際的に通用することはない。国民は完全に蚊帳の外である。

 

 しかし、時代の変遷で済まされるのか。我々の政治部長時代は、首相官邸で、官邸コックの手料理を、昼飯時に食べながらの懇談であって、番記者とのそれは想定さえできなかった。新聞テレビの窓口は、政治部長懇談のみだった。編集局長や社長なども論外で、ありえなかった。新聞テレビと官邸の関係を、かろうじて律していた。しかも、注目の手料理は、決まってカレーライスが定番だった。コストもかからなかった。質素倹約を貫くのも、主権者への配慮があったのだろう。

 

 余談だが、ロッキード事件の法務大臣・稲葉修の国会事務所では、鎌倉の自宅で夫人が作った弁当を、よくご馳走になったものである。鈴木善幸さんが自民党総務会長のころは、昼時に押しかけると、国会議事堂1階の通称人民食堂のラーメンをすすりながらの記者懇談で、オフレコなどという厳しい規制はなかった。

 

 安倍以降の記者懇談は、過去の伝統をドリルでこじ開けて、言論界の懐柔工作のための宴席三昧となって、それをよしとした。知らぬは国民ばかりである。以前では言論人でも、政治部長経験者でないと、こうした官邸カレーライスにありつくことなど出来なかった。

 

 いわくつきの菅番記者懐柔のための朝食会を、朝日新聞と東京新聞は拒否したという。不祥事の反省なのか、それでも菅のためにする懇談を欠席した点は評価されよう。ここを契機として両紙の反骨化につなげれば幸いなのだが。

 

<学術会議委員不当排除の説明責任問題を封じ込める格好な磁場>

 この時期は、日本学術会議の委員推薦者6人を排除した問題が、話題の中心になったはずである。加藤官房長官を質問攻めにする場面だが、なぜか新聞テレビの担当記者に、主権者に代わって追及する姿勢が弱い。

 加藤の逃げ答弁を簡単に伝えるだけの、官邸広報マンのように見える。

 

 本来であれば、菅と記者団が喧々諤々の朝食会のはずである。それが紙面や映像に反映する格好の場面であろう。

 

 元自民党国会議員秘書は、一人は東京新聞の愛読者で、他の一人は朝日新聞の購読者だ。前者は、東京のスクープ記事が出ると、連絡してくれる。後者は、早朝に朝日の国内外の記事をくまなく目を通す。

 

 同時に、BSニュースや民放テレビニュースを、週刊誌発売時はコンビニに飛び込んで、週刊誌にも目を通して、それを連絡してくれる。凡人には、これがいい刺激となって、パソコンのキーボードで、相変わらず慣れない指先を動かしている。

 

 初の菅懇談から、独自種が出たという知らせはない。ということは、完全オフレコ懇談は、菅の思惑通りの展開だったことになる。朝食会は記者を篭絡させる格好の磁場なのである。

 

<談合・秘密主義が横行する日本政治の半封建性>

 与党と野党の駆け引きにも、後者への懐柔作戦が執拗に展開している。古くは、中馬辰猪の秘書になった農協職員が、いまや菅と二階とコンビを組んで、大変な成果を上げている。それゆえに、政権交代しても森山という野党懐柔のプロが継続して国対委員長を歴任している。

 

 水面下で双方の談合・密談が横行しているのだろう。ネズミを捕らない猫のような、万年野党の弱体化は、与党による密室談合工作が成果を収めている証左である。せめて新民主党は、共産党レベルの与党に与しない人物を国対に起用しないと、次期総選挙でも大敗することになろう。

 

 官邸にとって、残る目の前のハエである新聞テレビ記者は、菅自ら封じ込める、そのための記者懇談である。この異様な新聞テレビと首相官邸の関係を清算しないと、この国は、世界の投資家で知られるジム・ロジャースが指摘するような、若者の人生を締め上げる底なし沼にはまり込んでいく。

 

 開かれた議会・開かれた言論界に舵を切り替えないと、日本の展望は開けないことになろう。

 

<記者も為政者も仲間内、気楽な雰囲気で、官邸の郎党化への道>

 国民を代表する新聞テレビの、この浅ましいばかりの体質を、逆方向に切り替える時であると、強く思う。

 

 権力を監視する言論界が、権力になびいてしまって、それを怠ることの恐怖を知る言論人にとって、いろいろあっても朝日と東京の、今回の勇気ある決断は、高く評価できる。

 

 それは政府・政権が、戦前の国家主義に傾倒、公正であるべき学術会議の人選までも、露骨に介入する安倍傀儡の菅・自公内閣であることが暴露された今である。そんな重大な局面での、記者と首相の仲間内のような完全オフレコ懇談を、容認することは出来ない。

 

<第二の唾棄すべきNHK記者が誕生する?>

 一部に安倍晋三にまとわりついて、それ故にNHK記者として大出世したという、唾棄すべきジャーナリストが再び現れるのか。第二のNHK記者が誕生するのかどうか、これも国民にとって不安の種であろう。

 

 いえることは、権力監視をやめたような番記者の中から、甘い汁を吸いたい願望の、よこしまな記者が必ず生まれることになる。別に、官邸との関係に限らない。財界人にまとわりついている経済部記者も多い。相手の懐に入り込んで、小さな利権に満足するケチな人間は、吐いて捨てるほど多いこの世の中である。

 とりわけ権力者の菅や二階にまとわりついて、よこしまな情報を発信する人物の誕生を恐れる。菅朝飯会の監視も、善良な言論人の使命である。

 

<会費はいくら?官房機密費による血税食事会の可能性が強い>

 細かいことだが、パンケーキの人気店と菅の関係も気になる。後援会の身内に相違ないだろうが、経費はどれくらいなのか。その一部を新聞テレビの参加者が支払うのであれば、それはいくらなのか。

 朝日と東京は、これを急ぎ報道してもらいたい。官房機密費での全額支払いとなると、これは国民の税金である。国民は悪しき報道陣に支払う税金に反対である。

 

 秘密の血税朝食会に参加した記者は、真実を報道する資格喪失者であろう。

2020年10月5日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)

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