長周新聞に栄光あれ!<本澤二郎の「日本の風景」(3377)
長周新聞に栄光あれ!<本澤二郎の「日本の風景」(3377)
<日本国憲法に徹した反骨の報道姿勢=これぞジャーナリズム>
「権力監視がジャーナリズムの真髄」「ジャーナリストは権力に屈してはならない」「ジャーナリストは無冠の帝王」ー筆者が政治記者として平和軍縮派の戦闘的リベラリスト・宇都宮徳馬さんと出会って教えられたことは、ジャーナリズム・ジャーナリストの心すべき基本姿勢だった。いま宇都宮さんのような人物を探すことはできない。いないからだ。
しかし、日本列島の西端で地方紙として、まるで一本のローソクとして極右政治を監視して、ひるまず、ぶれない長周新聞を発見した。65年前の新聞綱領が、今も光り輝いている!
<1955年創刊号で「再軍備が公然」と主張>
日本人の弱点は、物忘れである。70余年前の過去をすっかり忘れてしまっている。中国、韓国や北朝鮮との関係が、その典型であろうが、ドイツと比較させられると、二の句が告げなくなる。山本太郎運動員が初めて知る長周新聞のURLを送信してきたので、さっそく開いてみると、戦後10年目の4月15日創刊号を見て、本当に驚いてしまった。
朝日新聞を高級紙と信じてきた凡人ジャーナリストは、金槌で頭を殴られたような強い衝撃を受けてしまった。創刊にあたっての訴えで「憲法に背いて再軍備が公然とすすめられている」と喝破しているではないか。
朝鮮戦争で復活した財閥・自衛隊・神社本庁の戦前日本の三悪を正しく分析した、勇気と正義の論調である。
<「軍国主義の妖怪がのさばり始めた」と鋭く指摘>
武器弾薬を放棄したと憲法に謳っているのだが、現実は瞬く間に「軍国主義の妖怪がまたしてものさばり始めた」と決めつけている。その指摘は正鵠を得たものだが、それを敗戦後の10年の時点で見事に認識して、そのことを厳しく追及していたのである。
しかも、この新聞社は安倍晋三の地元の下関市にある。想像するに、そこは東条戦争内閣の商工大臣のA級戦犯で知られる安倍の祖父・岸信介の地元だ。安倍の祖父の暗躍に驚いての新聞発行と言えなくもない。
朝日新聞をはるかに超えた、日本の高級紙ではないか。それが今も継続している。真っ向からアベ改憲軍拡政治と対決しているのであろう。逆に維新の「攘夷倒幕」と対決するれいわ新選組を評価できるのであろう。ナツオと対決する野原善正などの活動も、積極的に取り上げているではないか。
<労働者は安い賃金、重税に泣かされる農民・中小商工業者>
日本は重税国家である。財閥の税金はどんどん下げて、大衆に10%消費税を押し付ける自公内閣であるが、この「創刊に当たっての訴え」では、さらに「10年もたった今日、依然として明るい展望は開けない」「労働者は安い賃金と労働強化に苦しみ、不断に失業の脅威にさらされている」「農民は土地が少ないうえに、生産費の償わない農産物価と重税にあえぎ、中小商工業者は不況、重税、金融難で倒産の危機にさらされている」とまるで今も通用する大衆の現状を訴えている。
これを裏返すと、財閥の復活と拡大の暴走である。
この報道姿勢こそがジャーナリズムの真髄であろう。民意を的確に代弁していて小気味よい。執筆者はだれか。
<「太る軍備と痩せ細る義務教育」がトップ記事見出し>
創刊号の1面記事がすばらしい。真実の報道で、権力の不正に堂々と挑戦している。今の朝日新聞も見習うといい。
「太る軍備と反対にやせ細る義務教育」「憲法違反はまず教育から」とまっすぐに政府の政治姿勢を批判していているではないか。
左肩の社説は「民主教育を守るために」と題したものだ。文面を確認できないが、おそらく歴史を軽視する憲法不在教育を鋭く追及していると思われる。
へその記事の見出しが「貧乏人の子供は学芸会に出られぬ」である。貧困時代の到来で、今の日本でもこうした傾向が見られるかもしれない。
<64年前に財閥1%政治と対決した地方紙に敬意>
その後の日本は、経済の高度成長で経済大国の地位にのし上がったものの、アメリカに叩かれて、結局のところ、中曽根バブル経済が崩壊、1500兆円が消し飛んで、厳しい時代を迎えているが、変わらない一点は、憲法違反の軍拡・軍国主義である。
ともあれ64年前の長周新聞創刊号の指摘が、現在にも通用する、その新聞が今も継続していることに敬意を表したい。
山口県はアベ一色ではないのだ。善良な勇気ある賢明な日本人も活躍している。この機会に、長周新聞のさらなる発展を期待したい。ひょっとして山本太郎や野原善正は、長周新聞の創刊号を読んで、それを栄養にして元気になったのかもしれない。
長周新聞に栄光あれ、である。
<追記>
10数年継続してきたライブドアブログ「ジャーナリスト同盟通信」を消されて、仕方なくゼロから始めた。jlj001から新しくjlj0011を立ち上げた。最初アクセスする読者はせいぜい10人程度。数千人の読者を失ってしまった。ところが、昨日の「山は動かない!」という事実に異変が起きた。600人ほどがアクセスしてくれたのだ。自公維を操るどころか、野党もコントロールする財閥に目を向けてくれている証拠であろう。
2019年7月17日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)
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